内容紹介
東京大学で始まった,理系1年生の必修科目「初年次ゼミナール理科」.少人数でのアクティブラーニングによって,第一線の研究者とともに研究の世界を体験する.本書は,基礎的なスキルをまとめ,多彩な授業を紹介し,その後の研究を展望する.理系大学生,必携.
学術論文の基本的な構成は、IMDR構造と言われます。
IMDR構造
- Introduction:序論
- Methods:方法
- Result:結果
- Discussion:考察
Introduction:序論
その研究分野で、現在明らかになっていることいないとこをまとめ、課題として問題提起します。そして、その課題の位置付けや重要性を説明し、研究の目的を明示します。
Methods:方法
研究で行なった、仮説を明らかにするための方法を具体的に記述します。(文献調査、実験・観察、実験機の作成、理論計算、シミュレーション、結果の解析方法)や実験材料を具体的に説明します。
Result:結果
研究で得られたデータを整理して示します。表やグラフを用いて、結果の着目すべき点はどこなのかが伝わるように工夫をします。
Discussion:
得られた複数の結果から示される事実を記載します。予想される新しいモデルや解釈の仕方などを、独自の主張として論理的に示します。また、今後の研究にどうつながっていくのか、その展望や新たな問題点の提起を行います。
参考
- 作者: 東京大学教養教育高度化機構初年次教育部門,増田建,坂口菊恵
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2017/03/24
- メディア: 単行本
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主要目次 はじめに
基礎編 サイエンティフィック・スキルを身につける 1 アカデミックな知の現場へ――大学での学びとは 2 研究のプロセス 3 研究倫理 4 学術論文の種類と構成 5 文献検索 6 グループワーク 7 プレゼンテーション 8 レポート 9 文献の引用 10 ピアレビュー
実践編 実録! 初年次ゼミナール理科 授業のパターン
問題発見・解決型 1 社会問題解決策のデザイン――社会技術とイノベーション(小松崎俊作) 2 私たちの身近にあるタンパク質を科学する(高橋伸一郎ほか) 3 老化のメカニズムに迫る――アンチエイジングは可能か? (江頭正人)
ものづくり 4 建築の可能性(川添善行) 5 体験的ものづくり学:3Dプリンタによるコマづくり(三村秀和ほか) 6 レアメタル製品化プロジェクト(岡部 徹) 7 数学・物理をプログラミングで考える(田浦健次朗) 8 機械学習入門(杉山 将・佐藤一誠) 9 知能ロボット入門(新山龍馬・高畑智之)
データ解析型 10 スポーツや音楽演奏のスキルと熟達化について考える(工藤和俊) 11 地震・火山の分布と地形・地質情報から観る日本列島の姿(市原美恵ほか) 12 身近な物理でサイエンス(松本 悠・田上 遼)
論文読解・演習型 13 ミクロの生命現象を可視化する(永田宏次・木下滋晴) 14 薬学における生物学の役割と貢献(八代田英樹ほか)
フィールドワーク型
「初年次ゼミナール理科」授業一覧
発展編 研究の世界へ 1 性差は科学できるか(坂口菊恵) 2 発生学と再生医学(栗原裕基) 3 身近なところに隠れている大発見:クワガタムシの隠蔽種と菌囊(久保田耕平) 4 寄生虫とのつきあい方(後藤康之) 5 ヒトが光合成できるようになるには(増田 建) 6 始原の微生物代謝を垣間見る(石井正治) 7 酒になれなかった水のはなし(北條博彦) 8 時空のさざ波,重力波をとらえる(大橋正健) 9 物理学を例にとって考える「研究する意味」(長谷川修司)