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学術論文の読み方 -本文のフレームワークIMRD-

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内容紹介

東京大学で始まった,理系1年生の必修科目「初年次ゼミナール理科」.少人数でのアクティブラーニングによって,第一線の研究者とともに研究の世界を体験する.本書は,基礎的なスキルをまとめ,多彩な授業を紹介し,その後の研究を展望する.理系大学生,必携.

学術論文の基本的な構成は、IMDR構造と言われます。

IMDR構造

  • Introduction:序論
  • Methods:方法
  • Result:結果
  • Discussion:考察  

 Introduction:序論

その研究分野で、現在明らかになっていることいないとこをまとめ、課題として問題提起します。そして、その課題の位置付けや重要性を説明し、研究の目的を明示します。

 Methods:方法

研究で行なった、仮説を明らかにするための方法を具体的に記述します。(文献調査、実験・観察、実験機の作成、理論計算、シミュレーション、結果の解析方法)や実験材料を具体的に説明します。

 Result:結果

研究で得られたデータを整理して示します。表やグラフを用いて、結果の着目すべき点はどこなのかが伝わるように工夫をします。

Discussion:

得られた複数の結果から示される事実を記載します。予想される新しいモデルや解釈の仕方などを、独自の主張として論理的に示します。また、今後の研究にどうつながっていくのか、その展望や新たな問題点の提起を行います。


参考

科学の技法: 東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト

科学の技法: 東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト

主要目次 はじめに

基礎編 サイエンティフィック・スキルを身につける  1 アカデミックな知の現場へ――大学での学びとは  2 研究のプロセス  3 研究倫理  4 学術論文の種類と構成  5 文献検索  6 グループワーク  7 プレゼンテーション  8 レポート     9 文献の引用     10 ピアレビュー

実践編 実録! 初年次ゼミナール理科 授業のパターン

問題発見・解決型  1 社会問題解決策のデザイン――社会技術イノベーション(小松崎俊作)  2 私たちの身近にあるタンパク質を科学する(高橋伸一郎ほか)  3 老化のメカニズムに迫る――アンチエイジングは可能か? (江頭正人)

ものづくり  4 建築の可能性(川添善行)  5 体験的ものづくり学:3Dプリンタによるコマづくり(三村秀和ほか)  6 レアメタル製品化プロジェクト(岡部 徹)  7 数学・物理をプログラミングで考える(田浦健次朗)  8 機械学習入門(杉山 将・佐藤一誠)  9 知能ロボット入門(新山龍馬・高畑智之)

データ解析型  10 スポーツや音楽演奏のスキルと熟達化について考える(工藤和俊)  11 地震・火山の分布と地形・地質情報から観る日本列島の姿(市原美恵ほか)  12 身近な物理でサイエンス(松本 悠・田上 遼)

論文読解・演習型  13 ミクロの生命現象を可視化する(永田宏次・木下滋晴)  14 薬学における生物学の役割と貢献(八代田英樹ほか)

フィールドワーク型

「初年次ゼミナール理科」授業一覧

発展編 研究の世界へ  1 性差は科学できるか(坂口菊恵)  2 発生学と再生医学(栗原裕基)  3 身近なところに隠れている大発見:クワガタムシの隠蔽種と菌囊(久保田耕平)  4 寄生虫とのつきあい方(後藤康之)  5 ヒトが光合成できるようになるには(増田 建)  6 始原の微生物代謝を垣間見る(石井正治)  7 酒になれなかった水のはなし(北條博彦)  8 時空のさざ波,重力波をとらえる(大橋正健)  9 物理学を例にとって考える「研究する意味」(長谷川修司)